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皆さんこんにちは!
株式会社長川原金属、更新担当の中西です。
~“歩留まり10%向上”~
砂型アルミ鋳造の基礎から、現場で効く“歩留まり向上のツボ”までを一気通貫で解説します。砂・金枠・中子・溶解・注湯・ばり取り・熱処理・検査…すべてが連鎖する“製造の総合格闘技”。要点を押さえれば、**品質×コスト×納期(QCD)**をまとめて底上げできます。
目次
砂型鋳造は砂とバインダーで作った型(砂型)に溶けたアルミを流し込み、凝固・取り出し・仕上げを行う工法。金型が不要なので初期費用が低く、形状自由度が高いのが強みです。
少量多品種や大型品に◎
肉厚差の大きい形状や中空も中子で対応
設計変更や試作サイクルが速い⚡
主な合金:Al-Si系(AC4B/AC4C/ADC12相当)、Al-Mg系(AC7A)、**Al-Cu系(AC2A)**など。鋳造性・機械的性質・耐食性のトレードオフを理解して選定します。
**緑砂(クレイ+水)**を使うか、**フラン/フェノール等の自硬性砂(ノーベーク)**を使うかで運用が変わります。
粒度(AFS GFN):細かい→表面きれい&ガスこもりやすい/粗い→ガス抜け良いが肌荒れ。
含水率:多すぎるとガス欠陥、少なすぎると崩れ。
コンパクタビリティ(締固め性):圧縮強度・透気度と合わせて管理。
粘土活性:回帰砂の焼け砂が増えると粘結力低下→生砂追加やベントナイト調整で補正。
樹脂添加量・硬化時間の安定化
混練ムラ防止(コアシュート前後のタイムラインも含めて)
**LOI(残留着火分)**管理で発煙・ガス欠陥を抑制
現場Tips:“見た目OK”は当てにならない。圧縮強度/せん断強度/透気度/含水率を1ロット1記録で可視化
模型収縮代:Al合金は約1.0%前後(合金・肉厚で変動)。温度履歴を踏まえた実測値を蓄積。
抜き勾配:砂破損を防ぎ、肌荒れ・寸法バラツキを抑える。
中子(コア):コアプリントで確実に位置決めし、ベント(ガス抜き)を忘れない。薄肉長尺コアは補強棒やコアペーストで座屈対策。
パーティング(合わせ面):鋳造後のバリ削減=後工程コストを直撃。早期検討が吉✍️
湯口位置:静かに満たす(サブゲートやチョークで流速制御)。
上昇充填で巻き込み気泡を回避。
押湯:熱節(ホットスポット)へ給湯が届く配置。保温スリーブや発熱ライザーで凝固末端を制御。
チョーク断面:乱流化を抑え、酸化膜(フィルム)巻込みを最小化。
フィルタ:酸化物・スラッジ除去に有効(圧損と充填時間のバランス)。
実務の裏ワザ:“欠陥位置=凝固末端”ではない場合がある。湯回り&ガス経路の再現をCAEか透明樹脂モデルで検証
溶解炉(反射炉・保持炉・電気炉):温度の二段階管理(溶解→保持)で酸化/吸水素を抑制。
脱ガス:ロータリーデガッサー+Ar/窒素吹込み、水素量をPoD/減圧法で測定。
精錬剤:フラックスで非金属介在物を凝集。
粒子微細化:Ti-B系で結晶微細化、SrでAl-Si共晶の改良。
取鍋管理:スラグすくいと流出部の酸化膜切替を徹底。取鍋・注湯杓の予熱も忘れずに。
“良い湯”の定義=温度(±5〜10℃)×清浄度(低H)×酸化膜最小。温度計の校正履歴を必ず残す
注湯速度:遅すぎ→コールドシャット、速すぎ→巻込み。
余熱:寒い季節・大型鋳型は型温UPで初期凝固を安定化。
押湯観察:沈み量や温度減衰で給湯継続性を評価。
冷却・ばらし:時期尚早は熱割れ、遅すぎは生産性ダウン。品種ごとに標準時間を設定。
ショット/ブラスト:表面清掃と梨地の統一。
ゲート・ばり除去:後加工面のダメージを回避する刃具選定。
熱処理:Al-Si系はT6(溶体化→焼戻し)で強度UP、Al-Mg系は析出硬化で靭性向上。
機械加工:基準面→穴→タップの順。鋳造ひけや残留砂に注意。クーラント給水と切粉排出を重視。
ピンホール:水素・砂の水分・被膜反応→脱ガス強化/含水率管理/塗型改良
引け巣:給湯不足・押湯不足→押湯設計/発熱保温/肉盗み
湯じわ/コールドシャット:充填遅れ→注湯速度/型温/ゲート変更
酸化膜巻込み:乱流→落とし湯禁止/チョーク設計/フィルタ
砂落ち/砂かみ:砂強度不足→砂管理/塗型/振動
熱割れ:拘束+急冷→R付与/冷却制御/後熱
X線・断面・密度測定で“見える化”。欠陥地図を作って設計へフィードバック
砂の日次QC(圧縮強度・含水・透気・GFN・LOI)を看板化
湯道・押湯の標準ライブラリ化(製品カテゴリ別)
脱ガスログ×欠陥率の相関を月次レビュー
温度ガン+データロガで注湯温度のバラツキを±8℃以内
仕上げ不良の再発見える化(作業者ではなく部位で管理)
“欠陥→設計変更”の回路を最短化(CAE/3Dモデル即修正)
安全:溶湯飛散・高温・粉じん・騒音。PPE(フェイスシールド/耐熱手袋/耐熱靴)と注湯立ち位置の標準化。
環境:回帰砂の再生、バインダー発煙対策、溶解炉の省エネ燃焼。
DX:IoT温度計・振動センサで炉&ミキサーを予知保全、SPCで寸法&強度を統計管理。画像AIでばり・巣の自動検出も有効。
砂型アルミ鋳造は砂×湯×時間の“微差の戦い”。砂管理・湯道設計・清浄度・温度・押湯・標準化の6点を回せば、歩留まりと品質は必ず伸びます。まずは**「砂QCの見える化」と「湯道の標準テンプレ化」**から始めてみましょう。今日の1枚のQC表が、来月の不良率を半減させます。✨
株式会社長川原金属では、一緒に働いてくださる仲間を募集中です!
私たちが採用において最も大切にしているのは、「人柄」です。
当社は小ロットでニッチな部品の鋳造を得意としており、毎日違うものを造っているため日々の業務は変化があり、モノづくりが好きな方には楽しんでいただけると思います。
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