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皆さんこんにちは!
株式会社長川原金属、更新担当の中西です。
~「試作2週→量産へ」~
製品開発〜量産立上げに焦点を当て、**“早く・安定して・狙いの物性で”**走り出すための実戦ガイドをお届けします。設計者・営業・生産技術・品質保証が同じ地図を見るための、ステージゲート方式のロードマップです。️
目次
合金選定:
Al-Si(AC4C等):鋳造性◎、薄肉・流動性を優先。
Al-Mg(AC7A):耐食・溶接性重視。
Al-Cu(AC2A):強度重視(熱処理T6/T7前提)。
形状:薄肉リブ・ボス・中空は中子設計が鍵。
生産数:年間ロット数で砂型・ノーベーク・金型試作など投資判断が変わる。
目標物性(引張強さ/伸び/硬さ)と重要寸法のCPKを最初に数値化して共有。
肉厚マップ:極端な厚薄を緩和、肉盗みでホットスポットを分散。
R取り:内角はR2〜3以上で割れ防止&流動改善。
抜き勾配:砂割れ防止&肌向上。
基準面:機械加工の掴み基準を設計段階で決定。
穴・ボス:コア有無、ベント径、コアプリント強度。
湯口位置の自由度を残す形状か?(後から変更しやすいようボス/パッドを仮設定)
充填解析:乱流/空気巻込みのホットゾーン、到達時間、温度フロントを確認。
凝固解析:凝固順序、引けリスク、押湯効果、冷却条件。
鋳巣シミュレーション結果を湯道3案で比較し、採用基準を明文化。
バーチャルDOE:注湯温度・速度・押湯断熱・コアベント条件を多点で走らせる。
→ 試作回数を1回削れるだけで、開発費とリードタイムが大幅削減⏱️
サンプル数は最低n=5〜10でバラツキを把握。
全数X線+重要部寸法3次元測定で欠陥地図を作成。
金相(共晶Siの形態、Fe系介在物)や密度測定で内部品質を把握。
熱処理は炉内温度分布と保持時間をサーモロガーで裏取り。
ショートループ:試作日に成形→評価→その場で湯道改修→再鋳造まで回す“ワンデー改善”。⚡
FMEA(鋳造&仕上げ&機械加工):発生×重大度×検出で優先度を決定。
管理計画書:砂QC、溶解温度、脱ガスH値、注湯温度、押湯観察、熱処理条件、検査規格。
作業手順書(SOP):写真・ピクト中心で言語依存度を低く。
初期流動管理(ILC):初回ロットの100%X線/寸法を前提とし、合格トリガを明記。
日次:砂QC、溶解H、温度分布、歩留まり、欠陥率。
週次:湯道・押湯の見直し会、仕上げ手直しの再発防止。
月次:原材料(地金・回収材)ロット間差の評価、Sr/Ti-B添加量のリセット検証。
ばらつき源を潰す順序:①砂→②湯→③温度→④押湯→⑤熱処理→⑥仕上げ→⑦加工。
カイゼンの掟:作業者を責めず工程を責める。再現性のない“勘”を数値化する。
溶体化温度×保持時間:過剰は粗大化、不足は強度伸び不達。
急冷:水温・攪拌・部品姿勢で歪みと残留応力が変わる。
時効:T6/T5/T7の違いとバラツキ管理。
硬さ分布を部位でマッピングし、線膨張差による反りを予見。
鋳肌→基準出し→穴→タップの標準順序。
刃具摩耗の管理:巣当たりによる刃欠けを画像AIで早期検知。
治具設計:鋳物基準で把持し、クランプ歪みを最小に。
切粉処理:Al切粉の回収・再溶解までを一気通貫で設計。♻️
X線判定基準(等級表)をサンプル画像付きで共有。
リーク:機密部はエア/水/ヘリウムいずれか。治具漏れを先に潰す。
寸法:CPK≥1.33を目安に、外れ値は工程へフィードバック。
ダッシュボード:欠陥率・歩留まり・再作業時間・H値・温度偏差をリアルタイム表示
回帰砂再生率↑(焼成再生+微粉抜き)
溶解炉の高効率化(蓄熱バーナ・誘導炉)
廃熱利用(乾燥・予熱)
地金歩留まりの月次KPI化
発煙処理(RTO/スクラバー)
LCAでの製品環境値を顧客と共有
再エネ調達+夜間負荷平準化でCO₂原単位低減
動画SOP:注湯姿勢・湯面・押湯の“見え”を一人称カメラで。
技能マトリクス:砂/コア/溶解/注湯/仕上げ/検査でレベル管理。
評価:安全>品質>生産性の順。ヒヤリハット共有会で事故ゼロ文化を醸成。
多能工化:繁忙変動に耐えるローテーション表を標準化。
課題:中心ボス周辺に引け巣。
施策:肉盗み+押湯発熱化+ベント追加+注湯温度を-10℃、冷却制御で温度勾配を再設計。
結果:X線欠陥率が8%→1.2%、歩留まり+9.5pt、機械加工サイクル▲12%。
学び:湯道・押湯・温度・肉厚の同時最適が鍵。単独対策は限界がある。
試作から量産立上げまでを一枚の地図でつなぐと、品質の初期値が一段上がります。
DFMチェック→CAE→ワンデー改善→PPAP/ILC→SOP運用→ダッシュボード可視化
この循環が回り始めると、不良は“起きてから直す”でなく“起きる前に消す”へ。今日からできる一歩は、“欠陥地図”のテンプレ作成です。次の試作で、あなたの鋳物はきっと“最初から強い”。
株式会社長川原金属では、一緒に働いてくださる仲間を募集中です!
私たちが採用において最も大切にしているのは、「人柄」です。
当社は小ロットでニッチな部品の鋳造を得意としており、毎日違うものを造っているため日々の業務は変化があり、モノづくりが好きな方には楽しんでいただけると思います。
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