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皆さんこんにちは!
株式会社長川原金属、更新担当の中西です。
~ニーズ~
“砂と溶湯で設計を実装する”現場力
砂型アルミ鋳造は、複雑形状・中空・一体化を短リードで形にできる、自由度の高いモノづくりです。EV化・軽量化・少量多品種・環境要請が重なる今、発注側のニーズはかつてなく多様で厳密。一方で、欠陥ゼロの鋳肌が金型から外れた瞬間や、CAEの仮説が現物で証明できた瞬間に宿る“やりがい”は、この仕事の特権です。本稿では、いま求められるニーズを実務視点で整理し、砂型鋳造ならではのやりがい、現場で使えるチェックリストと90日アクションまで一気にまとめます。
目次
内部健全性の保証
ピンホール・巻き込み・引け巣の抑制を工程設計+検査(X線/CT)+トレースで“言える化”。
寸法安定・再現性
収縮見込み・仕上代・基準面の拘束をCAE+CMM/3Dスキャンでロット間のバラつきを圧縮。
短納期・小ロット対応
木型レスの3Dプリント砂型やモジュール中子で試作〜量産立上げを高速化。
薄肉・一体化・中空
ゲーティング/押湯の最適化、真空補助やチルで充填性と凝固順序を作り込む。
鋳造性×機械特性の両立
合金(例:Al-Si-Mg系)、熱処理(T6)、金属組織のターゲット管理(Si形態、Fe相)。
機械加工性の設計
基準面・掴み代・工具逃げ・クーラント溝など加工前提の鋳造設計。
表面品質・漏れ保証
漏れ試験(エアリーク/ヘリウム)、浸透探傷、ショット条件の再現性。
コストと歩留まり
湯道・押湯の最適化→歩留まりUP、二次加工工数・仕上代の最小化でトータル原価を下げる。
環境・安全(ESG)
砂再生率、VOC削減、エネルギー原単位、粉じん(シリカ)対策の見える化。
データ接続
CAD→CAE→造型→検査→台帳のデジタルスレッドで変更追従と監査対応を高速に。
欠陥の因果をほどけたとき
CTの不良マップとCAEの自由表面乱流がピタッと重なり、湯道修正で一発改善できたときの快感。
難形状が“鋳物ならでは”で解決
溶接や組立では難しい一体化を、砂と中子でシンプルに実装。設計者の「助かった」が直に届く。
リードタイムを縮めて市場に間に合わせた
3Dプリント砂型で試作10日短縮。量産受注や顧客の新製品発売に貢献できる手応え。
鋳肌が語る
ショットを終えた瞬間の均一な肌と角の張り。工程設計が正しかったと証明される。
歩留まりが数字で上がる
歩留まり+8pt、スクラップ−50%。原価が動くのを目で見られる喜び。
多職種で勝つ
設計・CAE・造型・溶解・仕上・検査が同じ一枚図で噛み合い、手戻りゼロで流れた日。
匠の勘を仕組みにできた
“ここにチル”“ここでベント”という暗黙知を標準テンプレとSOPに落として、誰でも再現できるように。
環境・安全の誇り
VOC・粉じん・灼熱の現場で、安全・環境を守り切る運用を回せたときの静かな誇り。
設計・開発:形状自由度・試作速度・内部健全性(CT)・CAE対話。
調達・原価:歩留まり・加工工数・不良率・リードタイム・代替性。
品質保証:検査基準、判定等級、トレース、是正の再発防止。
ESG/監査:砂再生率、VOC/CO₂、粉じん・安全、LCA情報。
試作スプリント(最短立上げ)
3D砂型+簡易治具+初回CT→CAEへ即リプレイ→2週で形状・湯道FIX。
内部健全性保証パック
充填/凝固CAE→ゲーティング設計→CT/漏れ試験→不良マップ添付の出荷証跡。
加工同時設計パック
基準面・掴み代・工具逃げのテンプレ提示→仕上代最小化→加工サイクル短縮。
ESG可視化パック
砂再生率・VOC・電力原単位・再生アルミ比率を品番別ダッシュボードで提示。
砂・中子
粒度・含水・通気・圧縮強度のSPC
中子ベント位置と断面積の標準化
砂再生比率/新品補給の最適点
溶湯
水素量・温度・保持時間の基準票
フィルタ・フラックスのロット管理
取鍋予熱・内面清浄度
型・注湯
ゲート・押湯・チルのテンプレ適用
自動注湯の流量プロファイル確認
真空補助・ベントの効き点検
検査・台帳
CT/X線の判定等級と運用範囲
不良マップ→CAE戻しの定着
原単位(砂/合金/電力/ガス/時間)の品番集計
歩留まり(%)/スクラップ率(%)
内部欠陥率(CT判定)/漏れ不良率
寸法一次合格率(CMM/3Dスキャン)
試作リードタイム/設計変更リードタイム
VOC・粉じん・CO₂原単位/砂再生率
労災・ヒヤリハット件数/SOP順守率
A|薄肉ハウジングの巻き込み減
介入:自由表面乱流を下げる湯道再設計+注湯流量の二段プロファイル。
結果:CTで気孔−80%、歩留まり+6pt。
B|漏れ不良の再発防止
介入:押湯位置移設+チル追加、熱いき過ぎ部に冷却補正。
結果:リークゼロ更新、加工待ち在庫も解消。
C|ESGデータの可視化
介入:砂再生ログと電力を品番紐付け、月次ダッシュボード化。
結果:VOC−30%、受注入札で加点。
不良トップ3を“因果で”潰す
CT不良マップ→CAE検証→湯道/押湯の一次改訂→1スプリント検証。
基準票のA3化&掲示
砂(粒度/含水/通気/強度)・溶湯(水素/温度/保持)・注湯(流量プロファイル)を一枚で見える化。
加工前提の設計レビューを定例化
週1で設計・加工・鋳造の三者会議。仕上代・基準面・掴み代を最初に決め、手戻りを半減。
砂型アルミ鋳造の価値は、設計課題を“砂と溶湯の論理”で解く力にあります。
ニーズは厳しくても、欠陥の因果を断ち切る知恵と、数字で語れる再現性を積み上げれば、やりがいは確実に成果へつながる。
次のロットでは、因果で潰す/一枚で見せる/加工と同時に決めるの三手から。
砂の上に走る湯の道筋は、今日も工場の思想そのものです。
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当社は小ロットでニッチな部品の鋳造を得意としており、毎日違うものを造っているため日々の業務は変化があり、モノづくりが好きな方には楽しんでいただけると思います。
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