オフィシャルブログ

第19回砂型アルミ鋳造雑学講座

皆さんこんにちは!

株式会社長川原金属、更新担当の中西です。

 

~製品~

 

砂型アルミ鋳造は、初期型費が低く、形状自由度が高いことから、試作~少量生産で長く選ばれてきた工法です。近年はEV・ロボット・ドローン・アウトドアギアまで用途が拡大し、“つくれるもの”の幅が一気に広がっています。本稿では、その多様化の方向性と設計・発注のコツをコンパクトに整理します。


なぜ今、多様化が進むのか

  • 需要の細分化:カスタム機械、ニッチ産業、アフターマーケット部品が増加

  • 短納期化:サプライチェーン変動で“今すぐ欲しい”が常態化

  • 設計自由度の向上:3Dプリント砂型や流動・凝固シミュレーションの普及

  • リプレース需要:廃番金型・旧車/産機の補修部品を少量で再生産


多様化の具体像(プロダクト×技術)

1) 用途領域の拡張

  • 産業機械/ロボット:アーム・ジョイント、軽量ブラケット、減速機ハウジング

  • モビリティ/EV:インバータ・バッテリー筐体、冷却プレート、軽量サス部品

  • ドローン/映像機器:ジンバルアーム、ヒートシンク一体筐体

  • 医療・ラボ機器:ポンプボディ、クリーン対応ハウジング

  • 建築・アウトドア:デザイン金具、軽量コンロボディ、ランタンフレーム

  • レストア/文化財:旧車・古機械の鋳物再生、装飾パーツ

2) 形状・機能の進化

  • 薄肉化&一体化:リブ設計で剛性確保、溶接・ボルト点数を統合

  • 内部流路/冷却:中子設計やAM中子で複雑水路を実現、放熱フィンの一体化

  • 軽量・高剛性:トポロジー最適化の“有機形状”を砂型で具現化

  • シール・防水設計:Oリング溝やボスを鋳肌+機械加工で高精度化

3) 材料・熱処理・表面

  • 代表的合金:Al-Si-Mg系(例:AC4系)=鋳造性・機械性のバランス、Al-Mg系(例:AC7系)=耐食性

  • 熱処理:T5/T6で強度・靱性・寸法安定を最適化

  • 表面:ショット・サンドブラスト→塗装/アルマイト、導電・放熱向けの化成処理

4) 成形プロセスの多様化

  • 3Dプリント砂型(バインダジェット):コア含め型レスで超短納期・複雑形状

  • ロストフォーム/発泡模型:一品物の大型化対応

  • ハイブリッド:砂型近似形→CNC仕上げ→アッセンブリ、インサート鋳込み


事例でイメージ(要点)

  • EV用冷却プレート:薄肉板+微細水路をAM中子で実現。鋳放し→面研→リーク試験まで一気通貫。

  • ドローン用ジンバルアーム:トポロジー最適化形状を砂型で少量量産。剛性同等で30%軽量化

  • 旧車の水ポンプハウジング:現物3Dスキャン→鋳造→機械加工→表面処理まで再生。供給停止部品の“救済策”に。


設計(DfM)の勘所

  • 肉厚均一:急激な厚薄差は引け・巣の原因。段階変化+フィレットRを。

  • 抜き勾配・コーナーR:抜き1°以上、内外角は応力集中を避けるRを基本に。

  • リブ設計:板厚の0.5~0.8倍を目安に剛性アップ、熱だまりを避ける孔あけも検討。

  • ボス/ねじ座:鋳放し位置決め→機械加工で精度確保。座面の面圧・ガスケットも設計時に想定。

  • 基準面の先決め:後加工のチャッキング基準を図面で明示するとリピート精度が上がる。

  • シミュレーション前提:湯口・押湯・冷却をCAEで擦り合わせ、初回から良率を高める。


コストと納期の考え方(ざっくり指針)

  • 1~100個/回:砂型が最有力。3D砂型で型費を最小化し2~3週間規模の立上げも現実的。

  • 100~1000個/回:砂型×治具の再利用で単価最適化。将来量が読めるなら金型への段階移行も視野。

  • 価格構成:型費(3D砂型は低減)+鋳造+熱処理+機械加工+表面処理+検査。設計の素直さが最強のコストダウン。


品質・検査の多様化

  • X線/CT:内部欠陥の可視化、軽量化設計の裏付け

  • リーク試験・圧力試験:流体系部品の信頼性担保

  • 三次元測定・スキャン:意匠部品やレストアの形状保証

  • トレーサビリティ:溶解ロット、砂再生率、温度履歴の記録で安定生産


サステナブル対応

  • 再生アルミの活用砂の再生循環、低VOCのバインダ選定などで環境負荷を低減。ESG調達要件にも適合しやすい。


発注チェックリスト(保存版)

  1. 用途・荷重・目標重量(“なぜアルミ鋳物か”を共有)

  2. 数量・繰り返し頻度・希望納期(最適工法の分岐点)

  3. 材質・熱処理・表面仕様(代替案の余地を残す)

  4. 重要寸法と後加工基準(“ここだけは加工”を明記)

  5. 気密性や強度の必達条件(試験方法と合否判定)

  6. 将来の増産シナリオ(治具・型の拡張設計)


砂型アルミ鋳造は、多品種少量・短納期・高自由度という時代要請に最もフィットする工法です。3D砂型やCAE、後加工の一気通貫体制を組み合わせれば、試作だけでなく少量量産の主役にもなり得ます。設計段階から鋳造側と“目的・必達条件”をすり合わせ、軽く・強く・早い鋳物づくりで市場機会を取りにいきましょう。

 

株式会社長川原金属では、一緒に働いてくださる仲間を募集中です!

私たちが採用において最も大切にしているのは、「人柄」です。

当社は小ロットでニッチな部品の鋳造を得意としており、毎日違うものを造っているため日々の業務は変化があり、モノづくりが好きな方には楽しんでいただけると思います。

ぜひ求人情報ページをご覧ください。皆さまのご応募を心よりお待ちしております!

詳しくはこちら!